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ニーガンについて

 ウォーキングデッド。ドラマ本編と原作コミックを全話制覇。200時間くらいかかった。去年の11月から年始にかけてウォーキングデッド尽くしだったよ。

 なぜ僕がそこまでの労力を費やしたかと言うと、それはもちろん鉄拳7ニーガンっていうウォーキングデッドからのゲストキャラが出てるからだね。ちなみにコミック日本語訳版ではネガン表記なのでダサかった。

 このウォーキングデッド、海外では有名な作品らしいが、僕は鉄拳の新キャラとしてニーガンが登場するというアナウンスがされた時まで、このドラマを一切知らなかったね。だから「新キャラはニーガンだぜ!」って大々的にアナウンスされても「誰?」って感じだった。同じこと思った人も多かったと思う。

 ちなみにゲーム版もあり、僕はシーズン1、2だけプレイした。シーズン4まで出ててそれがファイナルシーズンだし、他に外伝もあるんだが、それらをやってない理由はPS版が出てないことと、steamでも日本語版が無いこと。翻訳しながらやりたい気持ちも一応あるんだが、QTE方式のアドベンチャーで、選択肢が制限時間付きだから、僕の英語力ではちょっと無理なんだよな。

 一般的にはドラマ版が有名な作品群だと思うが、原作はコミック。アメリカでは大人向けコミックをグラフィックノベルと言うらしく、このウォーキングデッドの原作もそのグラフィックノベルに当たるらしい。だが実際読んでみたが僕からしたらただの漫画だ。

 日本ではコミック日本語訳版が10巻(+外伝1巻)が出てて、そこで刊行停止してるんだが、この時点では既に完結している原作英語版コミックの全193話のうち168話までしか収録されていない。しかもアメコミショップに問い合わせたら、出版社が事業停止しているそうで、今後の重版は無いんだそうだ。つまり未完のまま絶版しとるんだな。何よりも定価がべらぼうに高くて、1巻あたり最低でも3000円以上するし、最終巻にいたっては4620円もする。この価格のせいで誰に対してもおいそれとオススメできないぜ。いちおう僕はこれを全巻買って読んだうえ、日本語版コミックの出てない169話~193話についても、ちゃんと英語版を頑張って翻訳しながら読んだのだ。

 そんな感じなんで、まあ僕は、いっぱしの感想を言っても差し支えない水準の実績には達しているんじゃないかね。

 ドラマと原作コミックで共通してるのは大筋くらいで、内容はまるで違う。ゲームに至ってはほぼ原作とは関係ないんだが、コミック版を理解するにはゲーム版の内の1つをやる必要がある(具体的にはミショーンが主役のゲームがある。コミック版では途中から、ミショーンが一時期パーティから離れてた時期がある、という設定になってるんだが、それがゲーム版で描かれているらしい)、という面倒なメディアミックス展開もしてる。ちなみにそのゲームは日本語未対応なので僕はやってない。

 ドラマも本編以外に『フィアー・ザ・ウォーキングデッド』という外伝が展開してる(超長い)。ドラマ本編で唐突に退場したまま帰ってこないキャラが、そっちに登場してるらしい。僕はまだこの外伝には手を付けてない。

 さらに、ドラマ本編は完結したが、今後は2つの新作ドラマを展開するらしい。

 そんな感じで、原作が終わろうが、ドラマ本編が終わろうが、今後もまだまだウォーキングデッドは続くのである。でも僕はここが潮時だと思って手を引くことにする。

 

 

 ウォーキングデッドがどういう話かというと、主人公がケガで意識不明の重体になり入院、目が覚めたらゾンビだらけになってて世界が崩壊していて、その状態から延々と逃げ続ける、って話。

 この作品のゾンビは、怪力や超スピードといった特殊能力はない。ゾンビは前を歩いているゾンビについていく特徴があり、結果的に集団になりやすい(コミックより)。足は遅い。生前の記憶も無い。他のゾンビ作品にあるような、ゾンビが母性本能で自分の子を守ったりするシーンは一切ない。これらの設定は終始一貫してて好感を持ってたんだが、ドラマのファイナルシーズンで扉を開けたり壁を登ったりする特殊個体が唐突に発生したので、とても幻滅した。ちなみにドラマでは中盤から『ゾンビは階段を登れない』という設定が追加された。だったらビルに避難するだけで全員助かるじゃねーか、と思うので、この設定はクソだし、実際その設定はドラマでもうやむやになった。

 基本的には、かみつくことで感染しゾンビ化する。ドラマの最初の方では『引っかかれても感染する』という設定もあった気がするが、その割にはみんな半袖で平然と戦うし、引っかかれて感染したキャラも多分1人もいない。漫画版では「目や口に血が入ると感染する」という設定があったが、ドラマでは顔面に血しぶきを豪快に浴びても感染しなかった。

 かみつかれた後は、高熱が出て数日後にゾンビになる。

 でも、かみつかれた場合でも、患部を切り取ればゾンビ化しない。患部を切り取ってゾンビ化したキャラは1人もいない(切断時の出血多量で死んだヤツはいる。コミック版)。この設定のせいで手足を切断する仲間だらけになる。ドラマではかみつかれてから30分後くらいに切断しても感染しなかった。腹とかをかみつかれた仲間は手遅れと判断される。

 ゾンビは、脳を傷つけた時のみ完全に動かなくなる。脳以外をどれだけ攻撃しても動き続ける。

 人類全員が既に空気感染しているという設定なので、かみつかれてなくても、病気や飢餓や失血で死んだキャラなんかは全員がゾンビとして復活する。でも既に感染してる割にはなぜか生きてる人が唐突にゾンビ化することは絶対に無い

 ゾンビは基本的には匂いで生きてるかどうかをかぎ分けてるので、『死体の臓物を体に塗りつければ、ゾンビ達に襲われない』という安全回避方法がある。だがなぜか主人公達は、こんな便利ルールを、大ピンチにならない限り利用しない。まあこればっか使うと話が盛り上がらないからなんだが。そのくせ後半では使いまくる。今まで死んでいった仲間はなんだったんだと思う。

 そんな感じで感染のルールがあいまいな作品だった。

 

 

 どうせ原作コミックを読む酔狂なんてほとんどいないだろうから、以下に原作コミックにおけるドラマとの主要な違いを列挙すると、

 

・ダリルが存在しない

・リックの右手首から先が無い(序盤で総督に切断された)

・ジュディスが赤ん坊の時に死ぬ

・リックはアンドレアと夫婦になる。

・リックは最終回直前で死ぬ

・カールとソフィアが夫婦になって、アンドレアって名前の子供ができる

 

って感じ。

 なるべくドラマ版のネタバレをしないように書いたつもりだが、察しのいい人だとドラマ版のネタバレになってるかもしれん。このドラマは、誰が生き残るのかを予想するのも視聴者にとっての醍醐味の1つだと思うんで、それが分からないように心掛けたつもりだ。でもレンタルビデオやオンデマンドにて、各シーズンの画像サムネを見ただけで「あー、このキャラ、ファイナルシーズンまで生き残ってるんだなー」と分かってしまうんだよな。そんな感じで、新規参入者はどう気を付けたってネタバレ不可避な点が、このドラマの非常にいただけないと僕は思う。何が言いたいかと言うと、運営もそういうショボいネタバレをやってるんだから、僕の軽いネタバレくらい大目に見てくれってことだ。

 ウォーキングデッド(歩く死人)というタイトルは、主人公が、逃げ回ってるだけの自分達を自虐した表現でもある。漫画の最終回ではゾンビを駆逐した世界になり、カールが「もう我々はウォーキングデッドではない」というセリフを吐き、多くの人命を救った父リックを回想するシーンで終わる。

 ちなみに、ゾンビが発生した原因については、一切明かされないまま終わる。思うに「極限状態においても人間らしさを貫けるか?」というのが、このウォーキングデッドという作品全体のテーマであり、だから作者にとっては原因の設定づくりとかはどうでもよくて、導入にとりあえず取り返しのつかないパニックを起こしておき、上記のテーマに沿った心理描写をしたいだけぽいんだよね。GANTZとか、昔の映画のCUBEとかみたいな、事件部分だけを描きたいエンターテインメント。話としては漂流教室ドラゴンヘッドが近いけど。まあそのせいか、セリフ回しがやたら教訓気取りなんだが、僕は日本人なので「ポストアポカリプスものなら、はだしのゲンを見た方が、よっぽど学びがあるわい」という身もフタもない感想を持ってしまった。なんせ漫画版はともかく、ドラマ版の主人公達は、他人にはくどいほど性善説を唱えるくせに、自分たちは少し状況がひっ迫しただけで簡単に相手を殺すので、まるで好感を持てないんだよね。「お前たちは性善説主義者じゃないから殺す!!」なんて論理が破綻してるだろ。そんな感じでテーマがブレまくりなくせに、尺だけはやけくそに長いので、ただひたすら中だるみしてるんだよな。まあ漫画版の主人公は、ドラマ版よりは人間賛歌の信念を一貫してるけど。

 

 

 ここは一応鉄拳の専門ブログのつもりなので、ニーガンについて書くが、彼はウォーキングデッドにおけるボスキャラの1人だ。

 ウォーキングデッドは大まかに話を区切ると、ボスキャラと4回戦う話だった。ドラゴンボールで例えるとピッコロ編、フリーザ編、セル編、ブウ編みたいな。ウォーキングデッドにも4人のボスが出てくる。ニーガンは2番目のボスであり、ドラゴンボールでいう所のフリーザに当たる。ニーガンもちょうどフリーザのように存在感があったので、ニーガン討伐後はシリーズの人気も失速したように感じる。ウォーキングデッド全編を通して1番盛り上げたヴィランは、ニーガンで間違いない

 ニーガンは、ポストアポカリプスというルールの無い世界において、暴力と恐怖で支配する理不尽なサイコパスキャラとして登場する。ニーガンの登場からこのドラマは一気にグロくなる。一応ユーモアも持ってるキャラなんだが、正直グロすぎるため、鉄拳には全くそぐわないモータルコンバットの方がしっくり来る。

 でもこのニーガンは、漫画やドラマでキャラ人気が出たせいか知らんが、途中から『実は僕は必要悪として仕方なく暴力を振るっていただけで、ウォーキングデッド界では最も人格者だったんですぅー』みたいなツンデレキャラに変貌していく。そうは言っても、かつてみかじめ料として常に収益の50%も徴収してた行為が、必要悪で済むわけねえだろと思うんだがね。

 漫画版・ドラマ版のどちらも、全編通して最も印象に残るのは、鉄拳のレイジアーツが出るシーン。鉄拳のニーガンのトレーラーでまんまパロディが使われてたが、

youtu.be

 まあこのシーンが、ウォーキングデッドのピークと言っても差し支えないと思う。ここで仲間を容赦なく殺されたことで、それまでイケイケだった主人公はビビりまくってしまうんだな。実際、ニーガンの登場時の恐怖と演出は素晴らしかった。視聴者もそれまでは「このドラマ、メインキャラ達はどうせ生き残るんでしょ」みたいに楽観してたのが、ニーガン登場からは誰が殺されてもおかしくない状態になり、視聴者側の緊張感も増すのが良かったね。

 ニーガンは元体育教師。バットには元妻の名前であるルシールという名前をつけてる(原作コミックではルシールは砕け散る)。ちなみに、ウォーキングデッドの主要キャラたちはそれぞれ得意武器がある。主人公は片手斧担当。他に、日本刀担当、ボウガン担当、棒術担当などのキャラがいる。んでバット担当がいなかったからニーガンに使わせよう、という単純な理由で持たせてるだけだと思う。

 ニーガン編がどういう結末を迎えるかは書かないでおくが、原作コミックもドラマも概ね同じ展開。コミック版のニーガンの方が少しイケイケ。ドラマのニーガンは登場時3話くらいはとても怖いんだが、なんかどんどん失速していくのが残念だったな。もっと常に偉そうにしててほしかった。

 ニーガンがどういうキャラかを手っ取り早く知りたいだけなら、シーズン6の最後の話と、シーズン7の前半数話(主人公の町に訪問する話まで)を見るのが、僕のオススメだ。鉄拳で使われてるセリフなんかは、多分それらの話で全て出てくる。それ以降のニーガンはどんどん覇気が無くなっていくだけで、初登場時の魅力を越えることは一切なかった。